EUとユーロの未来を考える

激動の欧州に暮らすピノピノさんのブログ。EUとユーロの未来を占うニュースをセレクトします。

止まらない!黄色いベスト運動

黄色いベスト運動、止まらないですね。2月23日にも「アクト15」の実施が予定されています。動員数は減ったとはいえ、逆に機動隊・警察官との衝突、公共施設など的を絞った建造物への破壊活動、ジャーナリスト・エリート層への暴力、ソーシャル・メディアでのヘイト・スピーチの投稿など、気分が悪くなるような行為が市民権を得たように公然と行われるようになった、そんな気がします。

 内務省が発表したこれまでの動員数をグラフにまとめてみると、以下の通り。黄色いベスト運動の参加者は内務省の統計は信用できないとしているけれど、2月14日の「アクト14」の動員数は4万1,500人で、3カ月前の「アクト1」のほぼ7分の1にまで縮小しています。

 

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ただ、黄色いベスト運動のメディアへの露出は相変わらず。テレビ、ラジオ、新聞報道で黄色いベスト運動のニュースがない日はない!と断言できるぐらいだし、グループのリーダーを自任する人たちが全国レベルのテレビやラジオのニュース番組で、耳をふさぎたくなるような自分勝手な体制批判を繰り広げる・・・クーデターを目論む一部のラディカルなグループのリーダーの発言を、全国レベルのメディアがこぞってスクープのように取り上げるような風潮を一部のジャーナリスト(わたしの好きなはジャン・カトルメール記者とか)は「ジャーナリズムの破綻」と批判しています。

 

黄色いベスト運動に対する世論の風向きもここにきて少し変わってきました。2月13日に公表された世論調査の結果によると、これまで黄色いベスト運動を「継続すべき」とするフランス人が過半数を超えていたのに対し、運動が始まってから今回初めて「運動を止めるべき」と答えたフランス人が56%と「継続派」を上回り、過半数を超えました。運動に伴う暴力や破壊活動、ヘイト・スピーチにはもううんざり!という人が増えたんでしょうね。土曜日のデモは「当初の要求からかけ離れている」と答えた人も64%に達しました。

 

でもここから黄色いベスト運動が一気に収束に向かうという声は聞かれません・・・マクロン大統領は黄色いベスト運動の沈静化に向け2018年末に炭素税引き上げの先送りなど購買力引き上げ政策を打ち出したものの、政権に対する不平・不満がまだまだ根強く、大統領や閣僚のスキャンダルや失言、政策の失敗などでまた運動に一気に勢いがつく可能性を払しょくできないからです。

 

国民の不満をくみ上げ、政策に反映させるため、1月15日から3月15日の日程で実施している「国民との対話集会」の結果を受け、マクロン政権が具体的にどのような政策を打ち出してくるのかが、注目されています。