フランス抗議デモ「黄色いベスト」の正体、あの人たちは何者?
世論調査会社Elabeが11月27~28日に1,000人を対象に行った聞き取り調査の結果によると、フランス人の75%が「黄色いベスト(ジレ・ジョーヌ)運動」を支持する(または共感する)と回答。また20%が「自分もジレ・ジョーヌだ」と答えています。「自分もジレ・ジョーヌ」とした人たちを職業、学歴、居住地域などでみると、「人口が少ない農村地帯に住んでいて、中学または高校を卒業した後、地方の会社勤めまたは工場で働いており、経済的に余裕がない・・・」そんなプロフィールが浮かび上がってきます。ジレ・ジョーヌで「パリ近郊に住み、大卒で管理職に就いており、経済力のある」エリート層はごくごく少数派。ジレ・ジョーヌって英国のブレグジッターや、米トランプ大統領の支持者のプロフィールと重なるところがあると思いませんか?
ジレ・ジョーヌのプロフィール:
職業「給与所得者・工場労働者」が27% ⇔ 「管理職」13%
居住地域「農村地帯」27% ⇔ 「パリ近郊」12%
経済状況「経済的に余裕がない」27% ⇔ 「余裕がある」13%
学歴「バカロレアを持たない(高卒以下)」27% ⇔ 「バカロレア以上(大卒)」12%
しかも、2017年大統領選で極右・国民連合「マリーヌ・ルペン」に投票した人の割合が42%と突出しており、これに極左・不服従のフランス「ジャン=リュック・メランション」が20%と続きます。これに対し、エマニュエル・マクロンに投票した人はわずか5%。もともとマクロンを支持していない人たちの運動だったんだ・・・っていうことがわかります。
それなら、ジレ・ジョーヌが見せるマクロン大統領に対する、あの激しい反発、暴力的な嫌悪感は理解できるわ。炭素税引き上げ廃止とか、購買力引き上げとかいろいろ主張しているけど、大半のジレ・ジョーヌにとって、それは単なる「大義名分」なんじゃないか。実は彼らにとってこの抗議活動は2017年大統領選のリベンジなんじゃないのか・・・と感じています。
2019年5月の欧州議会選挙への影響も出るのかな・・・と心配していたら、ジュルナル・デュ・ディマンシュ(JDD)誌が12月9日付けで発表した世論調査(957人対象)の結果によると、得票率はマクロン大統領の与党政党「共和国前進」が21%でトップ。極右「国民連合」(17%)、極左「不服従のフランス」(12%)を引き離しています。2018年9月の別の世論調査では、「国民連合」が21%、「共和国前進」が19%、「不服従のフランス」が11%でした。ヤッター!
この調査によると、ジレ・ジョーヌが政党として欧州議会選挙に出馬した場合は、極右・極左政党から票を奪う形で12%を獲得。国民連合は14%、不服従のフランスは9%に低下。共和国前進は21%で変わらず。ジレ・ジョーヌが極左・極右から支持を得ていることを裏付けていますね。ただし、JDD誌は、ジレ・ジョーヌは「政党として組織化できない」「同一プログラムで結束できない」ことから、欧州議会選挙に出馬する可能性は今のところほとんどないとの見方。ちょっとホッ。
なお、この調査で「環境派」の得票数は13%でした。第三勢力として浮上してきています・・・ウフフ